ブックフェア

 先日、息子が通う幼稚園で、ブックフェアが開催された。

朝から終業時間を少し過ぎた時間までやっていて、

息子のクラスは、朝8:45から9:15までその催し場にいるから、

その時間に保護者は参加できたらしてもいいし、できない場合は各自に専用の封筒を

渡しているので、お金をいれて持たせたらよい、とのことだった。

しかし、3歳の子供に現金を持たせるのもなんだし、

いつも朝息子を送っていく夫がその時間まで少し残って、一緒に見るということにした。


 その後、夫から「特に目ぼしいものはなかったわ~」というメールが来ていた。

夕方は私が迎えに行ったが、少し終業時間まで時間があったので、

私も一人でちらっと催し場に足を運んだ。やっぱり私にもさほど目ぼしいものは

なかったように思われたので、夫に「私も見たけど目ぼしいものなかったわ~」

とメールし、夫も「そうやろ~」と返信してきた。


 そして、終業時間になり、息子の教室に迎えに行くと

子供たちが出てきて、それぞれの保護者にあれ買った、これ買ったと

見せていた。

私は、あ~、息子は何もなくてかわいそうだな~と少し思ったのだが、

出てきた息子は、いそいそと自分のリュックから、一冊の絵本を取り出し、

私にうれしそうに見せて説明してくれた。

あれ?夫は何もなかった、と言ってたのに、結局買ったんかな?

でももし何か買ったら、メールした時に何か言うはずやしな~、

と思って、先生に、「うちの主人が支払いましたか?」と

聞くと、先生はアッハッハと笑い、「そうじゃないと不可能だと思うわ。」

と返された。私は「そうですよね~。いや、ちょっと確認しただけです~。」

と言ったが、

やっぱりおかしいと思って、自転車に息子を一旦乗せて、帰る準備をしつつ、

一応夫に電話した。

私:「ムッシュー君(息子のこと)本持ってるねんけど。」

夫:「僕、知らんで。」

え~~~!

慌てて、教室の方に戻って、先生に「夫に聞いたら、支払いしてないと言ってますけど」

というと、先生もびっくりして、笑いながら

息子に、「どうやって買ったの?」と聞いていた。

あなたたち、あんまり子供らのことちゃんと見てへんな、と思ったが、

ともかく、ぎりぎりまだブックフェアはやっていたので、息子を抱えて

催し場に行き、素知らぬふりで、これいただきますと

支払いを済ませ、事なきを得た。


 息子よ、母は焦ったではないか。

きっと、周りのみんなが本を持ってるから、もらってもいいと

思ったのかもしれないな~と推測したり、

また、彼が自分で好きな本を選んだことがなんだかうれしかったし、

それをうれしそうに見せてくれたのが

わが子ながら、かわいらしかったのであった。

息子の選んだ絵本。子フクロウが巣から落ちてママフクロウと

はぐれ、ママフクロウを探すちょっとした旅に出る話。